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土曜日の夜。僕は途方に暮れていた。最愛の彼女と、3週間ぶりに一緒にいるのに、 ラブホはどこも満室だった。この近辺のビジネスホテルも駄目。 かと言って、ランクの高いホテルに泊まるには、財布の中身は軽すぎた。 軽く呑んだりしなきゃ良かった。早く部屋を押さえていれば、こんなことにはならないのに。 僕は決断を迫られた。「じゃあまた今度」と別れるか。無理だ。 それなら、どこかこの街に「死角」を見つけるか。何処に?僕はこの街に、 あまり詳しくはないのだ。しかも彼女は、僕以上にこの街を知らない地理オンチときてる。 考えても仕方無い。僕はとりあえず歩きはじめた。ステーションビルの階段に向かった。 このビルにはエスカレーターもエレベーターもあるので、階段を利用する客は、 そうそういないのではないか、と踏んだのだ。行ってみると、階段には誰もいなかった。 しかし、上下のフロアに客がいない訳ではないので、安心は出来ない。 僕は、階段を踊り場まで降り、付いてきた彼女を振り返って抱き締めた。 キスすると彼女が舌を入れてくる。舌をからませながらも、僕は階段の上下をチェックする。 人影なし。僕は片手を伸ばし、服の上から彼女自慢のオッパイを揉んだ。まだ人影なし。 ジーパンのお尻に手を伸ばし、愛撫する。いぜんとして人影はなし。 挿入は無理にしても、愛撫くらいは出来るかも?彼女の舌を吸いながら、 僕は彼女のジーパンのファスナーを降ろし、パンティの上から愛撫するべく、 指を潜り込ませようとした時に靴音が聞こえた。おじさんおばさんの夫婦連れとすれ違い、 僕たちは外に出た。階段は駄目だ。ハラハラするだけで集中出来ない。 ただいるだけで汗ばむような夏の夜、しっかり手を繋いで、僕たちは歩き出した。 雑居ビルが目に付いた。他のビルより、ネオンが少ない。営業していない店舗もあるようだ。 屋上を見上げると、ビヤガーデンののぼりが立っているが、電気が点いてない。 僕は彼女の手を引いた。エレベーターに乗って、箱の中を見回す。カメラは無い。 4Fの居酒屋まで営業していて、5Fと屋上は営業していないようだ。 僕は「R」のボタンを押した。屋上に着くと、案の定ビアガーデンは真っ暗だったが、 外に出る扉には警備会社のステッカーが貼ってあった。そうすると後はエレベーターの中か。 「どうするの?」彼女が訊く。「この中だな」僕は言って、エレベーターに戻った。 階数ボタンを押さないで待っているとドアが閉まった。「エレベーターが止まっている間は、 安全だよ、一応」そう言って、僕は彼女のTシャツをすっとまくり上げた。 彼女はブラのカップに指をかけ、引き降ろす。こぼれ出た乳首を、僕は吸った。 彼女の乳首がたちまち尖り、押し殺した喘ぎ声がエレベーターの箱に響く。 オッパイを揉みながら僕たちはまたキスした。彼女の舌を吸い乳首を指で摘んで刺激すると、 彼女はジーパンのベルトを自分で緩めた。彼女のジーパンを膝まで降ろし、 僕はパンティの上から割れ目に指を這わせた。「あぁ……ん……」彼女が喘ぐと同時に、 エレベーターにがくん、とショックがあった。彼女は慌てて、ジーパンを引っ張り上げた。 彼女がベルトを締めるのに一瞬遅れて、エレベーターは2Fで停まった。 ドアが開くと、居酒屋だった。店員が乗ってきた。不審そうな顔で、僕と彼女を見ている。 営業していないRFに箱が停まっていたのを見られたらしいなと思って、僕は彼に声をかけた。 「すいません、ここらにビアガーデンってないですかね?」店員は納得したような顔になり、 「ああ、この屋上は先月までやってたみたいですが今は……ここらだと駅ビルの屋上ですね」 地上階に着いたエレベーターを降りながら、店員は僕たちの顔をかわるがわる見て、 「ビアガーデンじゃなきゃダメですか?ウチ、今ならサービスしてますよ?安いですよ?」 最近バイト料の値下げでも匂わされたのだろうか、熱心な店員だった。 僕は値引きチケットを貰い、「ビアガーデンが混んでたらこの店に戻ってくる」と、 守るつもりのない約束をして、彼と別れた。たいして大きくない街なのに、 一向に人通りが絶えない道を歩きながら、ため息が出た。もうあと1時間ほどで僕は終電だ。 彼女はまだ終電に間があるが、地元駅から車で20分ほどかかって帰宅する。 どっちも家族と同居しているので家では無理。おまけに明日は二人とも仕事なのである。 諦めるしかないのか…考え込む僕の耳に彼女が囁く。「ねぇ…したくなっちゃったよぉ……」 こっちだって同じだよ!と口に出そうになったが我慢。何とかエッチする方法はないのか…。 そのとき、天啓がひらめいた。「なぁ、あと時間どのくらい大丈夫?明日、仕事だったよな。 何時に家に着けばいい?」「……?」「俺、これから一緒にお前の地元行く」 僕の地元と、彼女の地元はまったく反対方向である。「こっち来るの?わざわざ?」 「地元にラブホある?」「ほとんど無いねぇ……」「最悪の場合は車の中だなぁ。」 「ま、とにかく終わったらファミレスあたりまで送って。俺、始発動いたら帰って仕事する」 彼女の地元から僕の住む街へは、まっすぐ行っても3時間はかかる。5時過ぎに始発が動けば、 僕は8時過ぎには家に帰れる計算。仕事は9時からである。間に合う。徹 夜 だ け ど 。 いつもは駅のホームで、「それじゃ」と言って別れる僕たちだが、今日は一緒だ。 電車はわりと混んでいた。いつも乗る、逆方向の電車とはえらい違いだ。 混んでいるのをいい事に、僕たちはピッタリと体を密着させながら乗った。 いくつか駅を過ぎる間に僕たちはジリジリと移動して扉の開かない側のドア側に行き着いた。 窓の外を眺めるような格好で、僕と彼女の身体と、窓で小さな三角形のスペースを作った。 Tシャツをたくし上げると流石にバレるので、Tシャツの上から、彼女のオッパイを愛撫した。 口を真一文字に結んで、彼女は声を堪えていたが、むしろ身体はずっと僕に押し付けていた。 乗換駅で座れた。この線の電車はいわゆる「中距離通勤列車」って奴で、 4人がけボックス席になってるシートがある。僕たちはそこに並んで座った。 乗車中、時々他の乗客の目を盗んでは、僕たちは素早くキスをした。 彼女の地元駅に着いて、僕たちは改札を抜け、24時間営業の駐車場まで歩いた。 僕は彼女の軽のナビシートに収まる。ちょっとだけ舌をからめるキスをして、 彼女は車を駐車場から出した。駅の周辺をグルグル(と僕には思えた)回ると、 その間に2軒のラブホがあったが、どちらも「満室」ランプが点いていた。 とことんツイてないようだ。彼女が「どうする?」と訊くので、 僕は「このあたりに……人目のないトコない?」と訊ねた。「……」 しばらく考えていた彼女は、やがて思いついたような感じで車をスタートさせた。 いくらか走ると、むしろ駅前より店舗やレストランが多くなってくる。 どうやらここのメインストリートは、駅からすこし離れているようだ。 賑やかなほうに走ってどうするのと思っていたら、一軒の店の広い駐車場に車を乗り入れた。
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2012/06/16 11:37 | | # [edit]
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