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彼女は淳ちゃんといい、僕とは大学に入学してから出会った仲だった。 見た目だけしっかり者、だけどなんだか抜けているところがとても可愛い。 セミロングの今時珍しい黒い髪、整った目鼻立ちで胸はそこそこ、身長は168cmと少し高め、 人並み程度の僕の隣にいてくれる女の子としてはとても不釣り合いで、恐れ多いほど。 それでも仲間内からは「お似合い」とか言われて、悪い気はしなかった。 そんな彼女が「雑誌のモデルにスカウトされた」と僕に自慢してきたのは先週のことだった。 彼女の「でも、断ろっかなー」という…おそらくは僕が「すごいね、やってみれば?」 というのを期待しての言葉に、もちろん、背中を押した。でもそれは彼女が他の人に、 無理矢理されるのを見てみたい、という性癖を持った僕が、それ系サイトに応募して、 念蜜に仕組んだアングルだったりする。もちろんカメラマンとスタイリストはグルだし。 さらに依頼した僕も僕だ。当然最後は、もう行くところまで…というのが約束だった。 「モデル料入ったらごちそうしてあげる」って彼女の言葉がちくりと来た。 でもそんなそわそわが落ち着かないまま、撮影の土曜日を迎えた。 もちろんその前の晩は、酒を飲もうが中々酔う事はできずにまったく眠れなかった。 僕は当然、野外撮影には立ち会えなかったけど、夕方からの部は淳ちゃんに知られないよう、 合流する予定だった。見られなかった前半の分は後日丁寧に、撮影写真のデータと、 メイキングのビデオテープが送られてきた。それによると、衣装は高校生の服装でスタート。 紺色の3つボタンのブレザーに赤いネクタイ、今の流行よりは少し長めのプリーツスカートに、 白い靴下。僕が見たことない淳ちゃんの制服姿。「えー、私ってそんなに童顔ですか?」 ビデオの中の淳ちゃんは、てっきり年齢相応の衣装での撮影と思ってたらしい。 「いやいや、普段着はあれだけかわいいんだし、制服が合うのは当然だよ」 と返すカメラマンさん役。実は本職のカメラマンでもあるらしいけどスムーズだ。 スタイリスト役の愛佳さんも美人で、どうしてこういう所業に絡んでいるのか不思議だった。 ロケは喫茶店のオープンテラスからスタートし、海岸沿いではしゃぐ姿を撮影。 所詮、素人モデルな淳ちゃん。撮影やシチュエーションに戸惑う度に、 「笑顔~笑顔~。そっ、視線は雑誌のむこうの彼氏にね」というのがカメラマンの口癖だった。 そして、いよいよ撮影は後半に。場所は貸しスタジオの個室の中に移動。 そこは青年男子の一人部屋のセット。ベッドに机に、学生部屋の最低限の設備。 部屋の中にはカメラマンさんと淳ちゃん、スタイリストの愛佳さん。 そして…ご相伴にと、部屋全体を見渡せるマジックミラーの後ろの僕。 どういうことか、ティッシュペーパーとくずかごのサービス付きだった(笑 どうしてこういう仕掛けがあるのかについては、色々と怪しかったけど、正直なところ、 もうどうでもいい。先回りして鏡の後ろに隠れてるんだけど、実はもう動悸がおさまんない。 淳ちゃんは前半の撮影で使った制服姿のままだった。部屋という閉鎖された空間の中、 午前とは違い、少し緊張しているようだった。カメラマンさんの声で、撮影再開。 「じゃあ、シーンを変えてみよう。そうそう、可愛いね。次は彼氏の部屋に。 彼の家族は…うーん、都合よく一家で旅行中、数日は戻ってこないと言うことにしようか」 「ご都合主義ですよぉ~」と仲がよさそうに笑いながら話す淳ちゃん。 「そんなの適当でいいの。彼の部屋に入って、適当に座って、といわれて、 なんとなくそこのベッドに座ってみた。ベッドはふかふかでー、今のセットのこの感触と一緒。 ちょっとおしりが沈み込んで、うっかりバランスを崩したって姿勢できる? そうそう、腰の方にバランスを。あー、いいねー」カメラマンは姿勢をてきぱきと指示する。 「で、ふっと気がつくんだ。無防備だなーって、あはは、わかる?そうそう、 今なにげに顔が赤くなってるけど、その表情いただくね」言われるとさらに淳ちゃん、 自覚したように表情に朱が差す。身じろぎして、足をぎゅっと閉じる。 「じゃ、もっと想像してみよう。ベッドに彼氏と隣り合って座るんだ。 お互い何を話していいか判らない微妙な雰囲気。少し恥ずかしい、 けど何かされそうな予感は少しある。キスかな、ハグかな…?ちょっと俯き気になって、 上目遣いで彼を見てる、そういうふうな」彼女は言われたとおりに、赤らめた頬を上目遣いに。 目が少し潤んでる。とても可愛かった。僕もこんな彼女は見たこと…正直には、ある。 それは喧嘩した後。淳ちゃんはいつも目を真っ赤にして怒って、そして謝る。 実は僕が謝る回数の方が多かったけど。そんな負い目の多さから生じた、 意味のない劣等感も、今回のこんな企みのきっかけなのかもしれない… 「うわーぐっとくるねー。そうそうその調子。もう撮影だと判ってても誘われちゃいそうだね。 じゃあ、ちょっと唇をなめてみてくれる?あー、なんかそのつぶらな視線、いいなぁ」 カメラマンはその後しばらく数枚、彼女の顔をアップに撮影してから、 「おし、グラビアの読者さんにサービスと言うことで。ちょっとだけ肌見せてみよっかー。 可愛いんだしそんなにエッチに撮らないから安心して。彼が両手を頬に添えてくるんだ。 そうそうキスのちょっと前みたいに。うわ、可愛いねー。その顔いただき!」 愛佳さんが淳ちゃんの正面に立って手を振る。笑顔の淳ちゃんの視線を引き受け、 カメラマンさんは斜め角度から撮影、最後に正面アップ。 「ちょっとだけスカートの裾を乱してもらえるかな。いやいや下着まではいかないって(笑) 少しだけひざとフトモモ気味に引っ張り上げて。そうそう。そんな感じ。足細くて綺麗だねー。 今まで撮影した中でルーズはいてる子はたいていダメなんだけど、靴下もいけてるね。 スタイリストさんの手柄かな?」「私もルーズは嫌いなんです。なんかごわごわだぶついてて」 「そうなんだ。僕もどっちかというとシンプルなヤツの方が好きかな~。いい趣味だわ。 スタイリストさん狙ってます?(笑)」愛佳さんは「こいつどうにかして」と苦笑い。 「ちょっとだけブレザーのボタンを外してみよう。上から1つだけね。」 「あとネクタイも少しだけゆるめて…そうそう。普段は堅苦しくて、真面目そうな制服の中に、 だんだん女の子の魅力が見えてくるんだー」淳ちゃんは言われるとおりに、 ブレザーの上着のボタンを1つ外す。といっても、留めるボタンは3つしかないので、 自然に胸元は開く形になる。そしてネクタイを…この衣装のネクタイは、 首の後ろのフックで止めるタイプのヤツじゃなくて、スタイリストさんが締めてくれた本物。 これをなんかサラリーマンのように人差し指でくいっと引く。下のワイシャツの首回りが、 少し露わになるのを見て、ごくり、と僕はミラーの裏側で唾を飲んだ。心臓ばくばく、 両手はもう、汗っぽい。男の部分は正直張りっぱなし。カメラマンさんは撮影を続ける。 「ええっと、お願いいいかな、ブレザー取ってくれる? 大丈夫かな?そうそう。 せっかく可愛いからもうちょっとだけ進みたいんだ。もちろん、嫌だったら言ってね。 そこで止めるから」淳ちゃんは少し戸惑ったようだけど、ブレザーをするりと脱ごうとした。 何か気が乗ってきているのか、興奮してるのか、目の潤みがすごい。 そして、ブレザーから片腕を抜こうとしたところで「っと、そこで止めて。袖はそのままで。 ブレザーを背中の後ろで羽織ったような感じ。このくらいなら大丈夫?」…っと。 淳ちゃん本人には判らないんだろうけど、端から見てるとこの光景は結構、そうまさに、 「誰かに脱がされている途中」。カメラマンさん本気だなと、さらに思わされる。 「じゃあ、ブレザー取っちゃおうか…大丈夫。可愛いねぇ。も今までのモデルさんと比べて、 トップクラスだよ」腕をブレザーの袖から抜くとき、少し淳ちゃんの顔にためらいが走った。 重さと温度が変わったあの感触に、少し自分を取り戻したように見えた。 ベッドの上でへたり込んで、白いワイシャツ姿になる淳ちゃん。 「いいかなネクタイ抜いちゃって、シャツのボタン…ええと、上から2つくらいならいいかな? これが限界かな? そっか…そだよね、昨日今日撮影始めたばっかだもんね。 無理だったらいいよ?」「ま…まだ、大丈夫です」ちょっと迷ったみたいだったけど、 シャツのボタンを上から2つはずした。はだけたシャツの奥に、肌色の胸元が少しだけ見えた。 「ありがとう。ここまで付き合ってもらえるとカメラマン冥利だな。じゃ、もう少しだけ。 あとほんの少しスカートを上げようか。あ、下着は見せちゃダメだよ?って当たり前だよね」 「うーん、ワイシャツのボタン、もう1つ外せるかな…?」 「想像してみよう、彼はキスをするんだ。そしてワイシャツのボタンを1つ1つ外して、 ビクっとした淳ちゃんを見て、そこで我に返っちゃう。ごめんね、って」 「紳士な…彼…なんですね」「そうそうそう。で、淳ちゃんにごめん、って謝るんだ。 そこでおしまい。実は雑誌的にもそこでぎりぎり。ここから先、本当のモデルさんなら、 水着とか別のシーンになるけどね」そして、一息おいてカメラマンさんが切り出す。 「本当はもっと続きを撮りたいんだけどね。心を許してくれた淳ちゃんを」 カメラマンさんの視線が、じっと真っ正面から淳ちゃんをとらえる。 「恥ずかしい…けど…」「それはいいってこと?」「…」 淳ちゃんは断るでもなんでもなく、うつむいてしまった…しばらくの空白。 そしてカメラマンさんは、わざとらしい明るい口調で切り出した。 「じゃ、無理しない程度に続けよっか。下着は見えないようにするね。 彼は淳ちゃんがうつむいたのを見て、もう一度キスをして抱きしめる。 でもそこからは進もうとしないんだ。彼は大丈夫? ごめんね? といいながら、 柔らかく抱いてくれるんだ。体を抱きしめられたのを想像できるかな?」 淳ちゃん、少し身じろぎして、そして動かなくなった。何を思っているのだろうか。 僕じゃない架空の彼に、ベッドの上で上着を脱がされて、そして抱きしめられてキスされて…。 カメラマンさんは心から残念そうに続ける。「無理だったらストップって言ってね。 でも正直言うと、僕は淳ちゃんのすべてを撮影したいなって思った。 こんなにのめり込むのは久しぶり。ねぇ、愛佳さん?もちろん、掲載する内容は上着まで。 もし撮っても外には出さないから。これはプロとしての約束」愛佳さんは頷く。 勇気の一押しが欲しい、淳ちゃんの視線が向くのを承知の上で。 もちろん合意は出来レースだ。淳ちゃんを追い込むための舞台の一つ。 「わかりました。でも…本当に下着を少し…までですよ…ね?」 「もちろん! 契約を破ったらプロじゃいられないから、大丈夫」 鏡の裏で僕はごくっと唾を飲む。いよいよだ、ついに…。 カメラマンさんの次の一言を待つ。しかし次の言葉はなかなか出てこない。 そして、タイミングを推し量ったような間の後、カメラマンさんは言った。
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